「薄迷宮を駆け抜けて」
紙版画凹凸版多色刷り
月と賢治という、宮沢賢治を題材にした企画展に参加した時のものです。
私は、賢治の詩を読み返して、作品を作りました。
色々資料を読んで、夜道を歩き通して、山を越えて馬市に見学に行ったりしていた、賢治に驚いていますが、ちょっと前までの、昔の人はそのくらい当たり前だったのでしょうか?
何もない山の夜道、さぞかし月は明るかったろうと思います。
同じ東北でも、岩手は乾いているイメージです。山の上の牧とか。原体の剣舞の事なんか思い巡らせたりしながら、絵を描いています。
山で月明かりのもと、空想を解き放っていったのだろうな、と、頭のイメージを急ぎスケッチしたような詩を読みながら、理屈の微塵もない文の中でゆらゆらしています。